渡邉顕人
Title:
共振する渓巣
作品解説:
「共振する渓巣」は、熱海市の豊かな丘陵地帯が生み出した谷間に、吹き抜ける風を受けるよう放射状に巨大な蜘蛛の巣を構築したものである。蜘蛛の巣は、生命の循環の象徴であり、熱海の自然環境と人々の密接なつながりを示唆するモチーフである。内部には、新生を待つ繭が抱き込まれ、夕暮れ時には光を放つ。制作には、幾何学的な設計アルゴリズムとドローンを利用することで、空中架構を実現した。
プロフィール:
1995年岡山県生まれ。慶應義塾大学修士課程修了。ドローンで蜘蛛の巣を構築する。糸はその場所の物体や事象を結ぶことで、多義的な意味を持ち始める。一見無作為に張られたように見える無数の糸は、環境条件を基にした幾何学的なアルゴリズムによって構成されている。それは、実際の蜘蛛が美しく単純な秩序から多様な巣のあらわれを作り出すような、生命的な現象を空間化しようとする試みである。